所属:株式会社トミーズアーティストカンパニー
「喉が渇いたから水を飲む……それくらいの感覚で生きています。」
副島美咲は、こんな答えばかりで大丈夫ですかね、と苦笑交じりに言った。
「私の行動や考え方に一番合っている言葉を探したら“自由”になるのですが、自由が何かとか、自由のためにどうするとか、理屈で考えることをしていないので、いざ聞かれるときちんと表すのが難しくて。本当に本能で生きているんですよね(笑)」
読者にはこの紙面に写る彼女がどう見えているだろうか。
副島さんは写真を“鏡”と表現した。その瞬間の自分をありのままに映してくれる、鏡だと。
飾らない等身大の姿で生きる、副島美咲という存在。それはどの角度からどう見ても副島美咲だった。
__今回の撮影の感想
「無表情か、少し表情が見えるかのギリギリのところ……ちょっとした違いにこだわって1枚ずつカットを重ねてゆくという、細やかな作業が新鮮で難しかったです。現場では格好つけていましたが、内心はどうしたら良いかわからず、胸がざわついていました。」
問われたことを真摯に受け止め、真っ直ぐに答えを返す。夏木元は、それこそが彼女の大きな魅力の一つだと分析した。
「撮影の感想を求められた時に“楽しかったです”しか言えない人もたくさんいます。でもそこを一切格好つけずに素直に答えられる。その時点で、他の人よりも一歩抜きん出ていると思うんです。そういった長所を活かして、グラビア以外の畑でも活躍する機会を増やしていければ良いのではないでしょうか。きっと積んだら積んだだけ着実にレベルアップしてゆけるタイプです。」
しかしそんな彼女にも、本来の自分を封印することを余儀なくされ、苦しんだ過去がある。
壇蜜のそっくりさん=“小蜜”としてブレイクした頃のことだ。副島さんは当時をこう振り返る。
「当時は全く本来の自分でなかったから、正直な話、ほとんど記憶がないんです。小蜜以外の余計なことを考えると素に戻ってしまうから、常に上の空のような状態だったんだと思います。」
__小蜜キャラを演じた過去、グラビア休業を経てなお、芸能界で仕事を続ける理由
「芸能以外にやりたいことがなかったのと、他の人と違うことをやりたかったっていうのが大きいです。色々と考えてみても結局芸能に戻ってきてしまうのは、やっぱり楽しいからですかね。でも逆に言うとそれ以外の理由がないから、芸能界で何を成し遂げたいとかっていう明確な目標も今の所はないんですけど(笑)」
__当時を乗り越えて変わったこと、現在の活動について
「キャラ作りだったことを暴露して、やりたいことをやれている今は本当に自由で幸せです! それから、他人にとても優しくなりましたね。私以外にも無理をしてキャラを作っている子はいるのだろうなぁとも思うし、切羽詰まってやっている子を見ると、もう少しゆっくりやりなよって思ってしまいます。」
__芸能界を目指す人たちへメッセージ
「きちんと芯を持って頑張ってください。」
それだけです!と言い切った彼女の表情は自信に満ちていた。
“小蜜”という、他人が創り上げた虚像に近づこうと、心と身体を切り離して歩んだ過去。辛い経験でさえも自らを成長させるための養分とし、芸能界という土に力強く根を張る彼女はまだ、自分がどのように咲くかもわからないという。
最後に、副島さんが語ってくれた撮影の心得について記したいと思う。
「撮ってください、ではなく撮りなさい……昔レッスンの先生に言われたんです、そういう心持ちで挑みなさいって」
我々がカメラを向けた時そこに映っていたのは、紛れもなく副島美咲だった。偽りの姿を撮ってもらっていた彼女は、今はもうどこにもいない。
仮面を捨て、その顔いっぱいに陽を受けて歩く彼女の笑顔には、光よりも眩しいものがある。
本人でさえも検討がつかないという彼女の未来――誰も知りえないその場所に、水と陽をたっぷりと浴びて育った彼女という花が、大きく美しく咲いていることを願って止まない。
(ライター/咲月)