所属:ブルースカイウォーカーズ
「私はずっと歌っていたい。」
フェミニンな白いレースのワンピースに胸元まで伸ばした艶やかな黒髪。モノクロに包まれた彼女はステージライトを浴びて色鮮やかに微笑んだ。
彼女の名前は福田朱子。早稲田大学在学中にSDN48としてデビュー、グループを卒業した現在は歌手、女優、タレントとマルチに活躍している。芸能界という舞台でマイクを握り続ける彼女……我々は写真と言葉の2面からその素顔に迫った。
__撮影の感想
「写真メインのお仕事は初めてでしたが、すごく楽しかったです。
最初は色々と考えすぎて、ポージングは硬く表情は暗くなってしまっていましたが、撮影していくうちに段々と良くなっていって……まずは自分が思ったようにやった方が良いということがわかりました。」
福田さんはアニバーサリーユニット“R”としても活躍している。グループを卒業後着々と活動の幅を広げる彼女だが、芸能界に興味を持ったきっかけは何なのだろうか。
「歌うのも人前に出るのもご飯のようなものだったので、きっかけと呼ぶような出来事はないんです。歌が好きってことの延長線上に芸能界があったから今の仕事をしています。」
__アイドルとして意識していたこと
「なかったからダメだったのだと思います。私は人気がある方ではありませんでした。パフォーマンスや生活態度は頑張っていたから選抜には入れてもらえたけれど、ファンを獲得するためにしなきゃいけないことのベクトルが上手にできる子と私では違ってしまっていたんですね。」
__デビューから現在まで
「アーティストを目指して音楽をやってきた仲間からはアイドルになることを良く思われていませんでした。でもアイドルを挟んでもやっていることは一緒なんです。ずっと歌っている。歌うことはすごく好きだけどそれは音楽が好きとは少し違うので私はこの道を選んで良かったのだと思います。」
__歌と音楽の違い
「食べるのが好きと作るのが好きは別ということに近いのかな。作るのが好きな人は色々と細かく詳しかったりするけれど、私はそっちをしたいわけではなくただ“歌うこと”が好きで。“こういうジャンルが”とか“この歌手が”とかではなくて“これが好き”って感じるんです。」
熱い情熱と愛を持ち舞台に立ち続ける福田さん。そんな彼女には忘れられない出来事があるのだという。
「命を諦めようとしていたけれど福田さんのパフォーマンスを観て止めました、って手紙を頂いたことがあって、それってすごくいいことだと思ったんです。私のパフォーマンスが誰かのちょっとした支えになるなら、これからも頑張っていきたいなと思います。」
__芸能界を目指す人へのメッセージ
「頑張り方のベクトルは人それぞれだということを頭に置いた状態で懸命にやっていくといいと思います。 “私はこんなに頑張っているのに”と思うのではなく“あの人の頑張り方のベクトルはあっちだから私とこう併せたら一緒に進んでいける”って考え方ができたら良いですね。なかなか難しいと思うけれど、そういうことが若いうちからできる人はきっと強いと思います。」
歌が好き—彼女が舞台に立ち始めた、たった1つの理由。彼女はずっと歌っていたいと繰り返し言った。その言葉通り、この世に歌がある限り福田さんは歌い続けるのだろう。
最後にこれからへの思いを聞いた。
「元々華やかな場所にいたので今の状況に悔しさを感じることもありますが、その中できちんと自分を見つめ、求められていることに応えながら一生懸命やっていったらいいかなと今は思えています。」
それから、と彼女は言葉を紡ぐ。
「そうしていった先で、自分の歌が世に出てくれたら嬉しいです。」
歌が好き。その思いは決して一方通行になるものではないと、彼女から感じた。もしかすると歌が彼女を生かすのではなく、福田朱子がいる限り歌が生き続けるのかもしれない。
(ライター・咲月)